動機の転換

 ごく当たり前の話ですが、物事には順序があり、原因があって結果が生じます。「自分で蒔いた種は自分で刈り取らねばならない」という戒めも当たり前のことを伝えているに過ぎません。

 逆説的に考えると、今自分が置かれている境遇や環境というものは、過去に自分が蒔いた種が原因となって、現在の結果に至っていると言うことができます。過去に行なった自分自身の選択の結果が今を作っているのです。

 そう、「選択」という言葉がキーワードです。私たちは「選択」という行為を内心で行なっています。その時々の自分の価値観、プライオリティ、思考パターンなどが「選択」を行なっています。これらをひっくるめて「動機」ということができるでしょう。現在は結果であり、結果には原因があり、原因は「動機」が作っているのです。

 私たちの潜在意識(Ego)には、良いエゴと悪いエゴがあります。ごく単純に申せば、良いエゴは公共性を大切にするもの、悪いエゴは自分本位ということです。 前者は神(創造主)からそれぞれに託されたものであり、後者は動物でもある人間が本能的に持ってるものでもあります。

 既存宗教を含めた多くの霊的な教えでは、私たち人間は悪いエゴを駆逐して良いエゴを体現できるようにすることが、この世を生きる目的であると伝えています。この事を、解脱、魂の進化、霊的向上、大我の発出、霊性成就、意識体浄化等々、様々な表現の仕方をしています。

 もし現在のあなたの内心(結果)が、絶望、恐れ、不安、後悔、焦り、暗黒、行き詰まり、取り越し苦労、落ち着きのなさなどに苛まれているとしたら、過去の選択の動機(原因)が悪いエゴだったからという可能性があります。

 外見上この世的に成功しているかしないかという問題だけで内心は語れません。この世的に成功していたとしても、あるいは幸せそうに見えたとしても、その方の内心はその方にしかわかりません。もしかするとその方は、ずっと内心の休まらない思いをしていらっしゃるかも知れないのです。

 一方で、この世的に決して恵まれているとは言えない境遇に置かれていても、内心が幸福感や充実感に満たされている方も大勢いらっしゃいます。こういう方はその選択にあたっての動機が神(創造主)から託された潜在意識に基づいているのかも知れません。この幸福感や充実感は神から祝福を受けているということもできるのです。 

 過去のこれまでの選択の動機を遡って変えることはできません。現在感じている内心の辛さは、過去の動機を見直させるために起きているのです。残酷に聞こえるかも知れませんが、原因に見合った辛さを味わいつくすまでは忍耐するしかありません。それが原因と結果の法則です。

 けれども未来は変えられます。今この時からあなたの選択の基準を、自分本位や自分だけの利益のためではなくて、公共性を念頭にしたものや他人も利するもの、相手を思いやるようなものにするように心がけるのです。つまり良い種を蒔くことを心がけるのです。

 いつしか他人の喜びが自分の喜びとなり、内心は幸福感に満たされ、平安で充実した日々を送ることは誰しも可能なことです。幸せになるために現実的な策を弄する必要は全くありません、あなたの心の中の作業だけで可能なのです。

 「サウロの回心」は、誰にでも、今この瞬間から起こりうることです。

 


 

 

 

 


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